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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻11号

1994年10月発行

特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール

Ⅱ.胃癌治療のプロトコール

(2)大阪医科大学一般・消化器外科

著者: 岡島邦雄1 磯崎博司1 中田英二1 豊田昌夫1 千福貞博1 野村栄治

所属機関: 1大阪医科大学一般・消化器外科

ページ範囲:P.50 - P.57

文献概要

 癌治療の基本は癌細胞を完全に除去することである.そのため外科的切除が第1選択になる.従来は癌の手術とは拡大郭清,広範囲切除の拡大手術が原則であり,これが広く行われ治療効果を挙げてきた.しかし近年,早期胃癌頻度が上昇し胃癌手術例の半数以上を占めるに及んで,従来の画一的な拡大手術の是非が見直されるようになり,それが結局は患者のQOLを考慮した手術を選択するということになったのである.従来は,癌の治療はまず根治性を優先し,これを施行した結果発現する種々の後遺症や愁訴は癌根治のために払われる代償としてやむを得ないものとされてきた.しかし,近年の術前診断の進歩と従来からの膨大な胃癌症例についての臨床病理学的分析データより,癌進展を正確に知ることができ,癌の進展に応じた適正な手術が可能となった.それがtype oriented surgeryの基本的概念になり,早期胃癌には縮小手術を行い,進行胃癌には必要に応じた拡大手術,場合によっては腹部大動脈周囲リンパ節郭清など従来以上の範囲の郭清まで行われるようになった.その基本には手術手技の習熟と進歩,周術期管理の向上が関与していることはいうまでもない.
 われわれの胃癌の外科治療の方針は症例に応じたtype oriented therapyを選択することが原則であり,対象症例の癌の進展に応じた胃の切除範囲,リンパ節郭清範囲を決め施行しているが,その根底には胃癌の進展についての十分な知識が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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