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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻11号

1994年10月発行

特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール

Ⅳ.肝癌治療のプロトコール

(1)旭川医科大学第2外科

著者: 葛西眞一1 紀野修一1 水戸迪郎1

所属機関: 1旭川医科大学第2外科

ページ範囲:P.121 - P.127

文献概要

 現在,肝癌に対しては,手術,肝動脈塞栓術(TAE),経皮経肝的エタノール注入療法(PEIT),動注療法,マイクロ波凝固壊死療法など各種の治療手段を選択しうる.これら治療手段のうち,手術は,癌病巣を取り除くことが可能な唯一の治療法である.1977年に当科が開設されて以来15年間の肝癌治療成績を示す(図1).この期間に当科で治療した231例の肝癌症例中,消息不明38例を除く194例を対象とし,治療経過中に選択された治療手段別の累積生存率を示している.治療経過中に肝切除術が施行された症例は74例,TAEは75例,動注は85例,肝動脈結紮術は26例であった(総数が194例にならないのは,治療経過中に複数の治療手段を施行された症例があるため).肝予備力や癌の進展程度などの背景因子を考慮していないので,この成績から治療手段の優劣はつけがたいが,少なくとも肝切除を選択できた症例の予後は良好であるといえる.このように,当科では肝癌患者を前にしたとき,まず肝切除の可能性を考える.
 しかしながら,わが国の肝癌患者は,その約8割に慢性肝炎,肝硬変などを合併しており,全例において,術後の肝不全や術後QOLの低下などを引き起こすことなしに,根治的に癌を切除しうるとは限らない.そのため,肝癌の手術においては,術後の肝障害が最小限になるように,術前の肝機能(肝予備力)を的確に評価する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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