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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻12号

1994年11月発行

文献概要

臨床外科トピックス 消化器外科領域におけるサイトカインとその周辺・8

臓器移植とサイトカイン

著者: 若林剛1 島津元秀1 白杉望1 市東昌也1 河地茂之1 隈元雄介1 吉田昌1 唐橋強1 北島政樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1463 - P.1469

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 はじめに
 臓器移植における重要な生体反応として,免疫反応と炎症反応が挙げられる.前者は移植片拒絶反応の主要な部分として,また後者は,拒絶反応の最終段階や primary graft nonfunctioning(PGN)における虚血—再灌流障害の発生機序として,無視することのできない重要な生体反応である.この両者はいずれもが,主に細胞間の情報伝達をつかさどるサイトカインと呼ばれる可溶性因子によって調節されている.
 一般的にサイトカインは分子量数kDaから数10kDaの糖蛋白であり,その作用発現は受容体との結合を介して行われる.リコンビナント蛋白を用いた研究から明らかになったこれらのサイトカインの特徴は,その機能の多様性と重複性である.すなわち,1つのサイトカインは種々の異なった細胞を標的として広範な生物活性を発現しうるし,いくつもの異なったサイトカインが1つの標的細胞に対して非常に類似の作用を発揮することができる.したがって,1つのサイトカインは,他のサイトカインと協調的に,あるいは相反的に関与しながら,いわゆるサイトカイン・ネットワークを形成し,その作用を発現している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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