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特集 外科手術と輸血—最近の動向
文献概要
大量出血に対する緊急輸血は出血性ショックの唯一の治療法である.その目的は循環血液量の維持と組織への酸素運搬であるが,その際にヘモグロビンの酸素結合と解離も救命救急医療の進歩のなかで改めて考慮する必要性が生じてきた.また,輸血後肝炎にはじまる汚染血輸血の問題もHBV, HCV, HIVの抗体チェックが可能となり,輸血の安全性が増した反面,GVHD反応もクローズアップし社会問題化している.したがって,輸血は救命のための単純な金科玉条的手段として行うのでなく,個々の病態に適した輸血療法が救命救急医療の現場にも求められている.
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