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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻3号

1994年03月発行

文献概要

特集 肝癌治療の最新ストラテジー

肝動脈塞栓療法(TAE)

著者: 島村善行1 石井正則1 永田寿札1 大谷泉1 小林理一郎1 山本穣司1

所属機関: 1千葉西病院外科

ページ範囲:P.325 - P.330

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 肝癌は肝硬変に多く合併し,かつ多発傾向にあるため,根治療法がとりにくい.そのため,各種治療法を加味した集学的治療が必要となる.それらの中で,TAEは適応範囲が最も広く,治療の中心的存在である.しかし,多施設共同研究での各種治療法の治療成績によると,肝機能の良好例では3cm以下,3個以下の腫瘍ではTAEは治療の第1選択としては不適切である.動脈血流が豊富で,十分に塞栓物質が取り込まれると.TAEの壊死率は高く,それ単独でも治療効果は十分なこともある.しかし,腫瘍径が5.0cm以上になると,1回のTAEではなかなか100%壊死にすることは困難である.このような巨大腫瘍に対しては,腫瘍を摘除し,腫瘍量を少なくしたあとにTAEを加えるという減量手術も有効となってくる.
 以上,TAEは肝癌治療のストラテジーを立てる上で最も重要な位置にあり,肝癌を治療する者はこれに習熟すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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