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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻6号

1994年06月発行

文献概要

綜説—今月の臨床

胃癌のNeoadjuvant chemotherapy—意義,適応,現状

著者: 中島聰總1 太田惠一朗1 石原省1 山田博文1 大山繁和1 西満正1

所属機関: 1癌研究会附属病院消化器外科

ページ範囲:P.769 - P.773

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Ⅰ.はじめに/Neoadjuvant chemotherapyの定義
 Neoadjuvant chemothrapy(以下NACと略称する)という用語は,ほぼ術前化学療法と同義語として使用される.また,放射線治療前の化学療法という意味が込められることもある.すなわち,この用語には腫瘍の局所治療手段に先立つ化学療法という意味合いが込められている.Freiら1)によれば,術前化学療法をNACと規定する根拠として,①原発巣をcontrolしてstage reductionする,②微小転移巣のcontrolを容易にする,の2点をあげている.すなわちNACは,治癒を目指した集学的治療を意図している.ことさらに“Neo—”という接頭語を付する意味は,化学療法を局所療法に先行することにより,治癒の可能性を高めるということである.
 従来のadjuvant chemotherapyがほとんど術後補助化学療法を意味していたことから,治癒を目指した術前化学療法をNACと定義するのは妥当な考え方であろう.このためには,あらかじめprotocolに手術をすることが明記され,手術の施行率が高率である必要がある.術後補助化学療法の場合と同様に考えれば,手術施行率は95%以上あることが必要であろう.他方,従来内科領域で進行癌に化学療法を施行して著明な効果があり,結果的に手術が可能となった場合もあろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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