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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科49巻7号

1994年07月発行

雑誌目次

特集 腹腔鏡下の腹部救急疾患診療

癒着性イレウスの腹腔鏡による診断と治療

著者: 中川隆雄 ,   平泉泰自 ,   関弘明 ,   中川原儀三 ,   石川雅健 ,   鈴木忠

ページ範囲:P.813 - P.818

 癒着性イレウスに対する腹腔鏡診断と腹腔鏡下治療の意義につき,自験例99例から検討した.癒着性イレウスに対する腹腔鏡診断の利点は,腸閉塞部位や閉塞機転を明らかにでき,癌性イレウスとの鑑別や絞扼の有無を正確に診断できるなど,開腹と同等の情報を得られる点にある.癒着性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術の利点は,手技が容易で低侵襲である,術後の疼痛や合併症が少ない,腸蠕動の回復が早い,癒着を増やすことがなくイレウス再発を防止できる,創が小さいなど多くがあり,これらの利点は開腹手術に望むべくもない.したがって,癒着性イレウスに対する腹腔鏡下診断と膜腔鏡下治療は,共にきわめて合理的と考えられた.

虫垂炎の診断・治療における腹腔鏡の役割

著者: 加納宣康

ページ範囲:P.819 - P.827

 従来の診断法を駆使してもなお診断困難な虫垂炎疑診例では,腹腔鏡検査が有用である.腹腔鏡下に診断し虫垂切除術が必要となれば,引き続き腹腔鏡下虫垂切除術を施行する.本法には,①術後の疼痛が少ない,②筋力の回復が早い,③術後の通常生活への復帰が早い,④瘢痕が小さい,⑤創部感染の可能性が低い,⑥腹壁ヘルニアの発生がない,⑦術後の癒着が少ない,など患者にとってはもちろんのこと,①腹腔内を広く観察できて診断確定に有用である,②腹腔内洗浄を必要とするときも,モニターテレビで汚染部位を直視下に観察しつつ広範に的確に十分な洗浄ができる,③テレビモニター下にドレーンを的確に位置に誘導・留置できる,など術者側にとっても多くのメリットがあり,これからの医療を担う外科医はこの術式に習熟する必要がある.

十二指腸潰瘍穿孔に対する腹腔鏡下手術—大網被覆と腹腔内洗浄

著者: 長島敦 ,   吉井宏 ,   奥沢星二郎 ,   北野光秀 ,   土居正和 ,   山本修三 ,   北島政樹

ページ範囲:P.829 - P.835

 狭窄のない十二指腸潰瘍穿孔1O例に腹腔鏡下大網被覆術を施行し,良好な手術成績を得た.術前に上部消化管内視鏡検査を行い,十二指腸潰瘍穿孔の診断と狭窄がないことを確認した後,臍下縁より腹腔鏡を挿入,上腹部に3本のトラカールを刺入して手術を行った.大網被覆はGrahamの方法で行い,結紮は結紮鉗子を用いる体外式結紮で行った.次いで,10,000 mlの温生食水で十分に腹腔内洗浄を行い,ドレーンを留置して手術を終了した.術後は経鼻胃管を挿入,H2ブロッカー,抗生剤を投与し,第7病日に内視鏡検査を施行した.現在まで術後合併症はなく,潰瘍再発を認めていない.本法は術後疼痛が軽微で,美容上も優れており,早期離床・早期退院が可能となる優れた術式と考えられた.

急性胆嚢炎における腹腔鏡下胆嚢摘出術

著者: 大橋秀一 ,   余田洋右 ,   神野浩樹

ページ範囲:P.837 - P.842

 腹部救急疾患の1つである急性胆嚢炎における病態について概説するとともに,外科的治療法として腹腔鏡下胆嚢摘出術の有用性を述べた.本法は,今後における器具・機材の開発改良と技術の向上に伴い,急性胆嚢炎症例においても積極的に応用されていくものと考えられる.

腹腔鏡下嵌頓鼠径ヘルニア修復術

著者: 松本純夫

ページ範囲:P.843 - P.846

 腹腔鏡下の鼠径ヘルニア修復術は,腹膜前層に内外および大腿ヘルニア発生部位を被覆するようにポリプロピレンメッシュを展開固定し,腹膜を再縫合する方法である.筋膜緊張が少ないため術後の疼痛は軽微で,運動制限も特に必要としないため注目されるようになった.鼠径ヘルニアの緊急性は嵌頓をきたしたときである.麻酔下に用手的に整復したのちに嵌頓臓器の壊死の有無を確認するのには,腹腔鏡は前方からアプローチする従来法より適している.現在の器具で嵌頓した臓器,特に腸管を引っ張ると損傷する危険が高いこともあり,麻酔をかけてから整復しても還納できない場合は従来法との併用を考慮すべきである.

腹腔鏡による急性膵炎の診断と治療

著者: 小松寛治 ,   若松秀樹 ,   和田正英 ,   村田誠 ,   川崎啓正 ,   吉岡浩 ,   鈴木克彦 ,   黒川敏昭

ページ範囲:P.847 - P.850

 急性膵炎に対して緊急腹腔鏡検査を実施し,腹腔鏡所見に基づいて治療法の選択を行った.150治験例の12.7%が出血性膵炎,63.3%が高度浮腫性膵炎,残りが軽度浮腫性膵炎であった.6.7%が開腹手術,72%が保存治療のみ,10.7%に腹膜灌流を実施し,その全例が軽快した.全体の死亡率は3.4%であった.

腹腔鏡下の婦人科救急疾患診療

著者: 宮本尚彦 ,   岩田嘉行

ページ範囲:P.853 - P.859

 産婦人科領域における腹部救急疾患は,子宮外妊娠,卵巣出血,卵巣嚢腫茎捻転,チョコレート嚢腫の破裂,急性骨盤内感染症,過剰排卵症候群などがある.これらは強い下腹部痛を主訴とし,過剰排卵症候群を除いて腹腔鏡の適応になりうる.腹腔鏡は,鑑別診断ばかりでなく,開腹手術に比べて侵襲が少なく,治療にも非常に有用である.これらは基本的には腹腔鏡下手術で処理しうるもので,婦人科でも腹腔鏡下手術が広く発展しつつある.
 ここでは,外科の医師が腹部救急疾患でこれらの婦人科疾患に立ち会った際の診断および腹腔鏡下での処理の方法について述べる.

カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・23

胸腔鏡下の交感神経切除術

著者: 大澤寛行

ページ範囲:P.805 - P.811

 はじめに
 交感神経切除術は,1924年Buerger病に対してDiezが,1925年Raynaud病に対してAdsonおよびBrownが初めて行っており,当時,四肢末梢血流障害に対して有効な唯一の手術法であった.その後,血行再建手術が主流となったが,近年,交感神経切除術は再評価を受けるに至った1).特に血行再建不能な末梢循環障害に対して血管拡張薬などの薬物療法との併用でより有効であり,また血行再建との併施により開存率の向上が認められた.すなわち,血行再建においては補助手段として有用であり,細動脈レベルでの血流改善には薬物療法と並んで主要な手段である.
 上肢の血行障害に対して,従来より開胸による交感神経切除が行われてきた.しかし第3または第4肋間開胸による到達法は,手術規模のわりに創が大きく,補助手段として施行するには多少の抵抗が感じられた.

綜説—今月の臨床

甲状腺癌の切除,リンパ節郭清の範囲と予後—R1再検討の必要性について

著者: 小林信や ,   菅谷昭 ,   飯田太

ページ範囲:P.863 - P.868

 Ⅰ.はじめに
 甲状腺癌のなかでも大多数を占める分化癌は,予後のよい癌の1つである.しかし,時には進行癌となり,周囲臓器への浸潤や遠隔転移で患者の生命を脅かし,癌死の原因ともなる.甲状腺癌の外科治療にとって,いかに癌の進行を食い止め,再発を少なくし,一方,微小癌などに不必要な過剰手術を避けるかが重要である.
 ここでは,分化癌を中心に,癌の存在部位・大きさ,組織型および患者の年齢・性を考慮した術式,進行癌と非進行癌の比較,再発癌症例からの術式の反省,リンパ節郭清分類(R)に対する再検討,縦隔郭清,微小癌について述べる.

臨床外科トピックス 消化器外科領域におけるサイトカインとその周辺・4

肝不全におけるサイトカインの役割

著者: 有井滋樹 ,   門田一宣 ,   古谷正晴 ,   藤田真一 ,   石黒聡 ,   中村敏夫 ,   今村正之

ページ範囲:P.869 - P.876

 はじめに
 サイトカインとは,免疫担当細胞をはじめとする種々の細胞から産生される生理活性物質である.サイトカインの基本的な役割としては,細胞間相互作用を担い,生体の恒常性を維持することにあると考えられている.サイトカインが産生されると,それに対応する特異的なレセプターに結合することにより,細胞は活性化され,生理活性が発揮される.そして一方では,サイトカイン産生の調節機構によって巧妙な制御を受けている.しかし,この調節機構が崩れ,サイトカイン産生異常が出現した場合,様々な臓器障害,組織障害を惹起すると考えられる.
 このような観点から,与えられた命題について私たちのデータを中心に概説してみたい.

外科研修医実践講座・13

術後愁訴とその対策

著者: 徳原真 ,   堀孝吏 ,   坂本昌義

ページ範囲:P.877 - P.881

 はじめに
 術後の愁訴は,患者が麻酔から覚醒したときより発生する.その内容は患者個人によって異なり多彩であるが,多くの術後経過をみてきた医療サイドとしては,「いつものこと」とおざなりになってしまうこともある.しかし,愁訴が合併症を発見する糸口となることもあり,注意深く対応する必要がある.また,患者のquality of lifeが重要視されている現在,負担のない闘病生活を送るという意味でも,愁訴に対して適切な対策をとるのは外科医の務めである.
 本稿では,術直後からよく遭遇する愁訴を取り上げ,筆者らがとっている具体的な対策を述べてみたい.

鴨川便り・7

診療記録

著者: 牧野永城

ページ範囲:P.882 - P.883

 電子カルテについて書いたついでに診療に関する記録について話してみよう.
 診療録と病歴という言葉だが,元来,言葉や名前が理屈どおりになっているかといえばそんなこともなく,言葉は生き物で必ずしも人の自由にはならぬ.実際,病歴とかカルテという言葉は現在常に使われ,むしろ診療録という言葉は医療の現場では滅多に聞かれない.慣習と喧嘩しても仕方があるまい.私は論文や病院管理の上では診療録と言っているが,現場では結構どの言葉も平気で使い,普段着としては病歴なる言葉もよく使う.この呼び名は素人にも通ずる.

イラストレイテッドセミナー・4

はじめての虫垂切除術・LESOON1

著者: 篠原尚

ページ範囲:P.885 - P.890

 1.臍と上前腸骨棘を結ぶ線の外側1/3の点(McBurney点)を通り,皮膚の皺に沿う約5cm(成人で)の皮膚切開を加える.腹直筋の広く発達した人では,正中に寄りすぎるとtrans-rectal incisionになってしまう.かといって,外側に寄りすぎると後腹膜に入っていってしまうことがある.McBurney点から外側へ1cm,内側へ4cmくらいが目安か.回盲部切除などによる皮膚切開の延長が予想されるときは,傍腹直筋切開を選択する.
 2.皮下からの出血をコッヘル鉗子をかけて止血したのち,術者はメスと有鉤鑷子をもって皮下脂肪と2枚の浅腹筋膜を順に切開していく.前立ちは,そのつど2本の扁平鉤で展開する.外腹斜筋腱膜に達したら,前立ちは再度,鉤で創を四方に十分広げる.

病院めぐり

鶴岡市立荘内病院外科/国立別府病院外科

著者: 三科武

ページ範囲:P.892 - P.893

 鶴岡市立荘内病院は,名曲「雪の降る町を」の誕生の地として有名な鶴岡市のほぼ中央に位置し,その歴史は1913年に創設された東田川郡,西田川郡組合立の病院に遡る.その後,鶴岡市立病院となり,戦時中は日本医科大学附属病院として機能し,戦後は再び鶴岡市立病院に戻った.現在の建物は1967年に完成し,現在16診療科を有し,入院病床数529床の総合病院に発展してきている.1993年には病院創立80周年を迎え,記念式典,市民健康講座,講演会などの行事が盛大に開催された.
 当院は,山形県の日本海側,すなわち庄内地方を主な診療圏とし,その対象人口は約20万人で,文化的にも距離的にも山形県の内陸地方とは離れており,そのような地理的条件から,この地域内での完結された医療を望む声が多く,当地における基幹病院としての務めを果たしている.しかしながら,建物の老朽化,狭隘化が進み,現在,移転,新築計画の具体化が論議されている.

臨床研究

手術時の深達度診断Mの胃癌218例の病理学的検索からみた縮小手術の適応と問題点

著者: 山村義孝 ,   坂本純一 ,   紀藤毅

ページ範囲:P.895 - P.898

 はじめに
 近年,早期胃癌に対する縮小手術の必要性が叫ばれるようになってきたが,早期胃癌すべてが縮小手術の対象になるわけではなく,主としてリンパ節への転移状況の検討から,m癌(癌の浸潤が粘膜内にとどまるもの)の一部に適応があるとする発表が多い1)
 しかし,m癌であるかどうかは切除標本の組織学的な検索で初めて明らかになるものであり,手術時には肉眼観察や触診によって深達度を推定するにすぎない.この推定深達度と組織学的な深達度とは必ずしも一致せず,縮小手術を進めていく上での問題点の1つとなっている.

Taylor法による腹腔鏡下迷走神経切離術の早期成績

著者: 金平永二 ,   大村健二 ,   森明弘 ,   渡邊透 ,   中村寿彦 ,   石川智啓

ページ範囲:P.899 - P.903

 はじめに
 腹腔鏡下に行う迷走神経切離術(以下,迷切)は,国外では1991年にKatkhoudaら1)により初めて行われ,その後,本邦でも行われるようになった2,3).術式としては,Katkhouda1)らはTaylor法4)(後幹切離+胃小彎前壁漿膜筋層切開)による迷切を採用しているが,本邦では主に選択的近位迷走神経切離術(以下,選近迷切)が行われている2,3).われわれは,1993年2月25日から1993年9月までにTaylor法による腹腔鏡下迷走神経切離術を5例の十二指腸潰瘍症例に施行した.本稿では,Taylor法による腹腔鏡下迷切の手術手技と術後早期結果を報告する.

メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)腸炎発症に及ぼす胃液pHの影響—幽門側胃切除症例について

著者: 井上匡美 ,   竹中博昭 ,   角村純一 ,   三木康彰 ,   永井勲 ,   田中智之

ページ範囲:P.905 - P.909

 はじめに
 消化器外科術後のメチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌(以下,MRSA)腸炎は,幽門側胃切除術,胃全摘術,食道癌根治術,膵頭部領域癌根治術などの胃切除を伴う術式に発症しやすいといわれている1-3).その理由として,胃切除後には胃酸分泌能が低下し,残胃もしくは上部消化管内のpHが上昇し,生育したMRSAが鼻腔や咽頭から下部消化管へ侵入しやすくなることが原因ではないかと推測されているが,詳細な検討はなされていない1-5).今回われわれは,幽門側胃切除術後の胃液pHとMRSA腸炎発症との関係を検討し若干の考察を加えた.

臨床報告

絞扼性イレウスを呈した小腸型Chilaiditi症候群の1手術例

著者: 福田淑一 ,   平尾智 ,   吉岡幸男 ,   鷹取浩 ,   塚崎義人 ,   木下博明

ページ範囲:P.911 - P.914

 はじめに
 消化管の一部が右横隔膜と肝臓の間に嵌入した状態を総称してChilaiditi症候群といい,比較的まれな病態である.しかし,症状を呈することが少ないため偶然発見されることが多く,また,嵌入する消化管の大部分は結腸で小腸はまれである.われわれは絞扼性イレウスを呈した小腸型Chilaiditi症候群の1手術例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

2度の手術を要した虚血性小腸狭窄の1例

著者: 鈴木衛 ,   佐々木正寿 ,   魚津幸蔵 ,   長谷川洋 ,   関川博 ,   北川正信

ページ範囲:P.915 - P.918

 はじめに
 近年,比較的まれな虚血性小腸炎(虚血性小腸狭窄を含む)の報告も散見されるが1-3),その臨床病理学的特徴には不明な点も多い.われわれは,2か所の離れた狭窄病変を有し,2年間隔で2回の手術を要した虚血性小腸狭窄の1例を経験したので,その臨床経過を若干の文献的検討を加えて報告する.

IIa様進行大腸癌の1切除例

著者: 安原清司 ,   草野佐 ,   小沢俊総 ,   矢川彰治 ,   植竹正紀 ,   野方尚 ,   飯室勇二 ,   木暮道夫 ,   飯田龍一 ,   小俣好作

ページ範囲:P.919 - P.922

 はじめに
 現在,Borrmann 2型大腸癌の発生については,腺腫を母地として癌腫が発生するというade-noma-carcinoma sequence説1)と,正常粘膜から腺腫を介することなく直接癌腫が発生するというde novo説2)とが考えられている.今回われわれは,粘膜面にIIa様の病変があり,その大きさが直径8mmと微小でありながら,すでに垂直浸潤が漿膜にまで達したde novo型進行大腸癌の1切除例を経験した.また,その浸潤形式は神経周囲および静脈沿いに漿膜下層まで浸潤した癌腫が漿膜下組織において増殖し,さらに周囲組織に浸潤するというものであった.本症例のように,粘膜面における大きさが1cm未満と微小でありながら漿膜にまで浸潤が達している症例は,われわれが検索しえた限りでは初めてであり,また,その浸潤形式も興味深いものであったので,若干の考察を加えて報告する.

特発性下腰ヘルニアの1手術治験例

著者: 田中実 ,   梅田弘敏 ,   大野光春 ,   菊地保成

ページ範囲:P.923 - P.926

 はじめに
 腰部には腰三角という解剖学的抵抗減弱部位が存在し,きわめてまれながらヘルニアが発生する.
 今回われわれは,下腰三角に生じた特発性腰ヘルニアの1手術例を経験したので,本邦報告例を検討し考察を加えて報告する.

乳腺管状腺腫の2例

著者: 長旧啓嗣 ,   岡島邦雄 ,   梁壽男 ,   岩本伸二 ,   堤啓 ,   山本隆一

ページ範囲:P.927 - P.931

 はじめに
 乳癌取扱い規約1)では,乳腺の管状腺腫(tubu-lar adenoma)は独立した腫瘍として分類されており,本邦では,18例の報告があるにすぎない.その発生について,中山ら8)は,線維腺腫の腺腫部分が強調された部分であり,線維腺腫の1亜型と考えたほうが良いと報告するなど,一定の見解が得られていないのが現状である.今回,管状腺腫の組織学的所見を呈した2症例を経験したので報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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