文献詳細
文献概要
臨床報告
IIa様進行大腸癌の1切除例
著者: 安原清司1 草野佐1 小沢俊総1 矢川彰治1 植竹正紀1 野方尚1 飯室勇二1 木暮道夫1 飯田龍一2 小俣好作3
所属機関: 1社会保険山梨病院外科 2社会保険山梨病院内科 3社会保険山梨病院病理
ページ範囲:P.919 - P.922
文献購入ページに移動現在,Borrmann 2型大腸癌の発生については,腺腫を母地として癌腫が発生するというade-noma-carcinoma sequence説1)と,正常粘膜から腺腫を介することなく直接癌腫が発生するというde novo説2)とが考えられている.今回われわれは,粘膜面にIIa様の病変があり,その大きさが直径8mmと微小でありながら,すでに垂直浸潤が漿膜にまで達したde novo型進行大腸癌の1切除例を経験した.また,その浸潤形式は神経周囲および静脈沿いに漿膜下層まで浸潤した癌腫が漿膜下組織において増殖し,さらに周囲組織に浸潤するというものであった.本症例のように,粘膜面における大きさが1cm未満と微小でありながら漿膜にまで浸潤が達している症例は,われわれが検索しえた限りでは初めてであり,また,その浸潤形式も興味深いものであったので,若干の考察を加えて報告する.
掲載誌情報