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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻9号

1994年09月発行

臨床外科トピックス 消化器外科領域におけるサイトカインとその周辺・6

炎症性腸疾患におけるサイトカインの発現

著者: 渡辺守1 上野義隆1 矢島知治1 高石官均1 井上詠1 岩男泰1 石井裕正1 相磯貞和2 日比紀文3

所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科 2慶應義塾大学医学部解剖 3慶応がんセンター

ページ範囲:P.1193 - P.1198

文献概要

 はじめに
 消化管粘膜は,絶えず暴露されているウイルス,細菌などの微生物,食餌性抗原,異物の侵入を阻止するために共通粘膜免疫機構(common muco-sal immune system)を形成し,局所において最前線の生体防御を営んでいる.その中核をなすのが,他の場所では認められない特殊な腸管リンパ装置(gut-associated lymphoid tissue;GALT)である.GALTは生体に侵入しようとするある種の抗原物質に対しては抗体を産生し,キラーT細胞を活性化してこれを排除しようとするが,その一方,無数の食餌性抗原に対しては,むしろ抗体産生を抑制しアレルギー反応が起こらないようにするという二面性の仕組みをもっている.GALTにおける体液性免疫応答の主役は分泌型IgA抗体であるが,近年,IgA抗体産生の調節機構,上皮間リンパ球(intraepithelial lymphocyte;IEL)および粘膜固有層内リンパ球(lamina pro-pria lymphocyte;LPL)を含む消化管粘膜内リンパ球の特殊性,自律神経と免疫系の相互作用など消化管免疫の複雑な機構が解明されるにつれ,全身的な免疫応答における粘膜免疫の重要性が再認識されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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