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文献詳細

雑誌文献

臨床外科5巻10号

1950年10月発行

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淋疾性関節炎のペニシリン療法

著者: 赤林惇三1

所属機関: 1東北大學醫學部整形外科教室

ページ範囲:P.508 - P.510

文献概要

緒言
 1879年Neisser氏が淋菌を発見し,其後淋疾性尿道炎と淋疾性関節炎の因果的関係が漸次究明され,1890年頃,König氏等に依り,関節炎は主に尿道淋疾の淋菌轉移症である事が認められるに至つた. 而して淋疾性関節炎に対する治療法も,漸次進歩を示し,古くより行われた発熱療法,温熱療法,ワクチン療法,自家血液又は関節液注射療法,或いはレントゲン療法等は既に歴史的な療法となり. スルファミン剤の出現により,其の治癒率は急速に上昇を示し,且つ以前迄は必ず機能障碍を残すと考えられていた此の疾患も,治療開始の時期,治療法の改善により,殆んど不快な後遺症を残さなくなつた. 即ちスルファミン剤の関節腔内注入,盈気療法,一定期間の固定後に於る後療法としての運動練習等に依り,其の予後に関しても一大進歩を遂げたのである. 然るにペニシリン療法の発見されるに及び,更に飛躍的な治療効果を上げ得るに至り,且つ機能障碍を残す事も殆んど無くなつたと云われている.
 而して,「ペ」療法に於る使用の技術,量,適應の時期等に就ては未だ確然たる結論に達して居ない樣であるが,私は最近,急性及び慢性淋疾性関節炎各1例を経驗し,之に関節腔内「ペ」注入を行い,其の急性の例に於ては良好な結果を得,慢性の例に於ても或程度の効果を得たが,機能恢復に関しては余り期待出来なかつたので,各症例を報告し,「ペ」療法の適應及び機能恢復性等に就て若干の考察を加えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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