icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科5巻4号

1950年04月発行

特集 Cancer・1

最近に於ける癌の治療法

著者: 山下久雄1 猪狩定典2

所属機関: 1慶應義塾大學醫専部 2慶應義塾大學外科

ページ範囲:P.184 - P.188

文献概要

 吾國では凡ゆる方面で排除困難な根本原因を現わすのに癌なる常用語を用い,之が極端に乱用されるので,却つて本来の病気の癌までが今日尚全く治療不能の絶望的疾患であるように大衆に堅い信念を釀成して了つている. 惹いては臨床医家も癌の疑いの場合は勿論,癌の確診が下されても患者には兎も角家人に話すことさえ躊躇し,徒らに日時を空費して了う実例は決して少くない. 今日では癌は最早根治不能の疾患ではない. 早期に発見し,適当の治療を施すならば相当高率で治癒せしめ得るのであつて,此の患者の恐怖心と医者の遠慮の爲になされる時間の空費は治療成績を著しく低下せしめていて,眞に憂慮にたえぬことである.
 癌の本体が現在尚本当に明瞭でないので,今後の研究に待たねばならない問題も沢山あるが,一應癌治療の現況とその経路とを簡單に括めて明かにして置くことも意味があると思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら