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特集 蛋白・2
外科領域に於ける蛋白代謝
著者: 砂田輝武1 弘中満2 塩田辨次郞2 小川新2 佐藤龜弘2
所属機関: 1岡山大學醫學部津田外科教室 2岡山大學醫學部專門部
ページ範囲:P.384 - P.390
文献購入ページに移動胃癌の外科に携わるものに今日なお2つの切実な悩みが残つている. その1は他の臟器癌にくらべ遠隔成績の芳しくないことであり,他は術後合併症や死亡例が胃十二指腸潰瘍等にくらべてはるかに多いことである. 永久治癒率の向上は今日の外科の水準から云えば早期診断に俟つより他に方法なく,從つて外科医のみに課せられた問題でない. これに対し直接成績の向上は手術法の改善もさることながら,どうしても術前術後の処置によるところが最も大きいと考えられ,しかもこれは外科医自身が解決してゆかなければならない問題である. 今日外科に来る胃癌患者は術前既にかなり栄養不全の状態にあり,しかも限られた日程の内に早期に手術を敢行しなければならない関係上,從来の術前術後療法では最近の日本の報告でも胃癌切除死亡率は15-20%という高い値になつている. ところが近着の米國文献ではこれが5%以下という驚異的数値をあげている. この良好な成績に至つた原因は種々あろうが,輸血及び蛋白を含めた手術前後療法の劃期的発達に負うところが一番大きいと考えられる. 日本の外科医が蛋白の問題に深い関心を傾けない限り米國の治療成績の域に到達出来ないのであつて,我々が胃癌患者の蛋白代謝について研究を始めた所以もこゝにある. 我々の研究の大要は本年4月第50回日本外科学会総会に共同研究として発表したが,こゝに紙面の都合上特に臨床家に必要な点を述べ御参考に供したい.
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