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文献詳細

雑誌文献

臨床外科5巻8号

1950年08月発行

文献概要

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ボタロ氏動脈管開存に対する閉鎖手術

著者: 井深健次

所属機関:

ページ範囲:P.407 - P.413

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 ボタロ氏動脈管(Ductus arteriosus Botalli)は胎兒の子宮内生活に於ては重要な意義を有しているが,ひとたび出生して母体外の生活に移り,肺臟の機能が開始されると,その必要性を失つて,退化閉塞する運命を持つに至るものである. しかし,この動脈管が時として出生後に於ても永く開存することがある. 即ちその場合には,これは心臟隣接大血管の1つの畸形に数えられる.
 その頻度は,Murrey氏が取扱つた心臟及び隣接大血管畸形患者60名中には11例(18.2%)が見られた. Bullock氏はLos Angeles County Hospitalの先天性心臟畸形症屍133例(21,000剖檢例中)に於てボタロ氏管開存のあつたもの36名(22.2%)を見出した. 更にBuroh氏1)はNew York Nursing and Child Hospitalの先天性心臟畸形症屍152例(54,842体の剖檢例中)中に16名(10.5%)あつたと報告している. Shapiro及びKeys氏2)は北米合衆國では約2万人に1人位の割合でその患者があるものと計算し,しかも大部分は小兒科で見受け,成人の患者を見受けることは非常に稀であるとしている. この動脈管開存は,先天性大動脈狹窄症の場合と異つて,女性に多く,その3分の2を女性が占めていると云われている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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