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特集 多臓器不全—患者管理の実際
文献概要
出血性ショックを伴った破裂性腹部大動脈瘤の術後に多臓器不全を合併し,集中治療により救命し得た症例を報告した.症例は71歳,男性.突然の背部痛,下腹部痛を主訴として近医入院したが,ショック状態に陥り当センターへ転送となる.破裂性腹部大動脈瘤の診断で緊急開腹し,人工血管置換術を行ったが,術後に心不全,呼吸不全,肝不全,腎不全が出現し治療に難渋した.しかし,カテコールアミン投与,人工呼吸管理,血漿交換,血液透析などの施行により全身状態は改善し軽快転院した.本症は全身の動脈硬化を基盤として発症するため,術後にしばしば多臓器不全を合併し予後不良の原因となる.それゆえ,血液浄化法やきめ細かな全身管理が重要である.
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