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文献詳細

雑誌文献

臨床外科50巻11号

1995年10月発行

文献概要

特集 術後1週間の患者管理 Ⅳ.術後合併症の予防と対策

術後せん妄

著者: 高橋忠雄1

所属機関: 1東京都老人医療センター外科

ページ範囲:P.396 - P.397

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術後せん妄の臨床的特徴
 術後せん妄とは,手術を契機として出現する一過性の精神障害で,せん妄の診断基準に基づくものであり,つぎのような臨床的特徴を有する1)
 (1)高齢者,男性に多い.(2)中等度以上の手術に多いが,全身状態・経過が必ずしも不良でない.(3)前駆症状として不眠や不安を訴えるものが多い.(4)手術直後から発症するまでの間にlucid interval(意識清明期)があるものが多い.(5)症状としては幻覚を主とするせん妄状態が主症状で,時に興奮を伴うことがある.(6)通常は2〜3日,長くとも1週間以内で消退する.(7)軽快したあと何ら後遺症は残さない.せん妄の期間のこともまったく覚えていないことも多い.ただし,長引く場合は縫合不全などの合併症を併発していたり,痴呆の悪化も考えられるので,その検索・対策を怠らないことが必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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