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特集 新しい膵手術のテクニック
文献概要
膵頭十二指腸切除術後の再建術として1978年,Traversoらによって発表された幽門温存術式は,本邦でも鈴木らによって導人されて以来急速に普及してきている.この術式の要点は,セクレチンやGIPホルモンなどの酸分泌抑制ホルモンが豊富に存在する十二指腸球部を3cm以上温存し,術後の酸分泌亢進を抑えて吻合部潰瘍の発生を予防すること,十二指腸球部の機能を保持するため上十二指腸動脈と右胃動脈を温存すること,術後早期の胃内容停滞を防ぐために迷走神経幽門枝を可及的に温存し残胃には胃瘻を造設すること,などである.この術式の最大の利点は,栄養の回復がWhipple術に比べてよいことである.
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