icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科50巻6号

1995年06月発行

文献概要

臨床外科交見室

地域医療におけるがん治療医の役割

著者: 辻谷俊一1

所属機関: 1国立米子病院

ページ範囲:P.790 - P.790

文献購入ページに移動
 がんは,今ではあらゆる人が知る大変一般的な疾患となった.高齢化社会でがん患者が増加したことに加え,社会的にがんは隠すべき疾患でなくなってきたためだろう.これまで,がん患者を抱えた家族は患者本人にがんであることを隠し,医師もそれに協力してきたが,それでは患者に十分な説明や治療が行えなくなってきた.
 こうして,がん患者は大学病院やがん専門病院などの大型病院に溢れている.がんは治療効果の如何に関わらず長い診療期間を必要とし,またがんの告知を受けた患者はこれまで以上の精神的ケアを必要とする.したがって,がんの診断,治療,追跡,そして終末期医療のすべてを大型病院だけで行うことはとても無理な話である.1人の医師,1つの病院の能力を伸ばす努力も重要であるが,今後がん診療の質を地域的に向上させるためには,開業医の活躍が必要である.すでに,診断に関しては,多くの開業医の手でがんが発見されており,さらに患者の追跡,治療に関しても役割を担うことが可能と考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?