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臨床研究
腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるhelical scanning CTの有用性
著者: 来見良誠1 花澤一芳1 江口豊1 白石享1 岸田明博1 渡辺英二郎1 柴田純祐1 小玉正智1 蔦本慶裕2 玉川正明2 奈良政信2
所属機関: 1滋賀医科大学第1外科 2八幡中央病院外科
ページ範囲:P.795 - P.798
文献購入ページに移動胆道系疾患の診断体系および治療体系を大きく変化させる画期的な治療法となった腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,LC)は,1989年にPerissat1)らによって報告され,本邦では1990年,山川2)により導入された手術術式で,現在では多くの施設において胆嚢摘出術の標準術式の1つとなっている.
LCの術前検査として,術式導入当初は術中造影が技術的に困難であったため,あらかじめ内視鏡的逆行性胆道造影(以下,ERC)を含む詳細な術前検査を行い,術前および術中に総胆管への落石の可能性のない症例を選びLCを行っていた.しかしながら,手術手技の向上とともに術前検査は徐々に簡略化されるようになり,現在では腹部超音波検査と経静脈的胆道造影(以下,DIC)を必須検査とし,総胆管の拡張がある場合にはERCを追加するのを原則とするようになってきた.一方,helical scanning CT3-5)(以下,ヘリカルCT)は,最近開発されたCTのスキャン方式で,構造物を螺旋状にスライスし再構築する画像診断法である.基本的には,通常の高速CT検査と同程度の空間分解能と濃度分解能を有するが,ヘリカルCTは再構築により滑らかな立体画像として表示できる点が大きく異なり,脈管の分枝形態などの立体構造をみるには特に優れた能力を発揮する画像診断機器である.
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