文献詳細
臨床研究
キチン,キトサンによる褥瘡治療の臨床的検討
著者: 広田裕126 谷岡真一郎2 谷川孝彦2 南三郎3 重政好弘4 森透5
所属機関: 1赤碕診療所 2鳥取大学医学部細菌学 3鳥取大学農学部獣医学科 4鳥取大学工学部物質工学科 5鳥取大学医学部第2外科 6現:米子中海病院
ページ範囲:P.799 - P.803
文献概要
高齢者人口の増加とともに褥瘡を有する老人の数が増加しつつある.褥瘡に対しては,一般に軟膏,外用貼付剤を用いた保存的治療が行われている.しかし,抗菌性や肉芽形成促進作用を合わせ持つ決定的な物質はない.キチン,キトサンは,カニやエビの殼やイカの軟甲から精製される多糖体で,天然素材として注目を集めている.1957年,Pruddenら1)はラットを用いた実験によりキチンが創傷治癒促進効果を有するとの結果を得た.現在,獣医学領域において,外傷,膿瘍などにキチン,キトサンの著明な効果が認められている2).ヒト褥瘡では,和田ら3),上山ら4)がカニ甲羅由来のキチン材料を用い良好な成績を得ている.
今回われわれは,キトサンおよびイカ軟甲由来のキチンを得ることができ,これを褥瘡に対して使用し,その効果を検討したので報告する.
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