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臨床研究
多発性内分泌腫瘍症を伴わない家族性甲状腺髄様癌の2家系
著者: 東泉東一1 高見博2 古田凱亮3 小坂昭夫4 覚道健一5
所属機関: 1東泉クリニック 2帝京大学医学部第1外科 3静岡赤十字病院外科 4清水市立病院外科 5和歌山県立医科大学第2病理
ページ範囲:P.1065 - P.1069
文献購入ページに移動甲状腺髄様癌はカルシトニンを産生する甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)に由来し,約1/3の症例は常染色体優性遺伝の形式を示す遺伝性群で,多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia:MEN)2a型(甲状腺髄様癌,副腎褐色細胞腫,上皮小体病変)または2b型(甲状腺髄様癌,副腎褐色細胞腫,粘膜神経腫など)を呈することが多い1,2).しかし,この家族性に発生する遺伝性群のなかで,1986年にFarndonら3)はMENを合併しない家族性髄様癌の家系を報告し,以後,新しい疾患群として分類されるようになった.この非MEN髄様癌はきわめてまれで,学問的にも貴重な疾患群と考えられる.
筆者らはこの新しい疾患概念に該当する2家系を検索してきたので,その臨床像,治療成績などを報告する.
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