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特集 乳房温存療法の適応と実際
乳房温存療法における放射線治療の役割と問題点
著者: 平岡真寛1
所属機関: 1京都大学医学部放射線科
ページ範囲:P.55 - P.60
文献購入ページに移動 1990年米国で開催された「乳癌治療に関するコンセンサスカンファレンス」では,多くのⅠ,Ⅱ期乳癌に対して乳房温存療法が乳癌の標準治療の1つであるとの国際的な合意が得られた.また,乳房温存療法が乳房温存手術と,放射線治療からなる治療法であることが明確に定義された.放射線治療の役割の主たるものは,温存乳房内に遺存する微小病巣を根絶させ局所再発を最小限にとどめることである.また,領域リンパ節への予防照射についてもその臨床治験は数多く集積している.放射線治療に関する新しい試みとして,N0症例に対して腋窩郭清術を行わず放射線治療のみで対応する試み,乳房温存療法の適応拡大手段としてのNeo-adjuvant放射線治療の試みがあり,今後の臨床評価が待たれる.一方,放射線治療の問題点として,治療の副作用,美容面への影響,乳房温存療法の非適応症例への関わりが挙げられる.
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