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文献詳細

雑誌文献

臨床外科51巻12号

1996年11月発行

外科医のための局所解剖学序説・4

頸部の構造 4

著者: 佐々木克典1

所属機関: 1山形大学医学部解剖学第一講座

ページ範囲:P.1455 - P.1464

文献概要

 甲状腺摘出の歴史は古く,痛ましい.J-L.ReverdinとE.T.Kocherが甲状腺の一部を残して取り除く手術方法にたどりつくまで,約2000年の間,屠殺行為と非難され続けた.その歴史的経過をたどると,甲状腺の解剖学的特徴や性質が浮かび上がってくる.
 最初に人類が遭遇したのは,甲状腺摘出の際に生じるおびただしい出血であった.甲状腺の血管分布は外頸動脈と鎖骨下動脈の二重支配を受け,下甲状腺動脈は奥から上がってきて裏面に分布する.さらに,被膜直下で枝は細かく分かれ表層を這う.静脈の分布も豊富であり,いずれも内頸静脈,腕頭静脈に直接注ぎ込み,扱いにくいものである.J.Thorwaldは,出血を回避するための特殊な止血鉗子の開発と200回以上の結紮が必要だったと述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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