icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科51巻2号

1996年02月発行

文献概要

特集 甲状腺外科の新しい展開

甲状腺癌手術—病理組織型別にみた切除範囲とその根拠

著者: 小原孝男1 山下共行1 神戸雅子1

所属機関: 1東京女子医科大学内分泌外科

ページ範囲:P.167 - P.171

文献購入ページに移動
 甲状腺癌が一側葉に限局する場合,甲状腺切除範囲は病理組織型別に少し違った点がある.乳頭癌では,患側側葉と峡部および反対側葉の下1/3くらいを切除する亜全摘が標準的な術式である.大部分の乳頭癌は予後のよい低危険癌であり,全摘して131Ⅰ治療を加えるほどの治療を必要としないからである.濾胞癌では,広範浸潤型では全摘を行い,131Ⅰシンチグラムで遠隔転移を早期に発見し131Ⅰ治療を行う.微小浸潤型濾胞癌は葉切除で経過観察する.髄様癌のうち遺伝型は全摘が必須である.その原因遺伝子であるRET癌遺伝子の点突然変異を検索すれば,遺伝型の診断が確実につく.罹患家族員には,遺伝子診断による発症前診断・予防手術も可能な時代に入っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?