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文献詳細

雑誌文献

臨床外科51巻3号

1996年03月発行

文献概要

特集 肝炎・肝硬変患者の消化器外科手術

胆石症手術

著者: 萩原優1 小森山広幸1 田中一郎1 生沢啓芳1 金杉和男1 山口晋2 長岡至朗3 山村卓也3

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院外科 2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院第1外科 3聖マリアンナ医科大学横浜市東横病院外科

ページ範囲:P.297 - P.301

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 肝硬変を主とした肝疾患に胆石合併例を検討した.自験例では肝疾患1,278例中胆石保有者で73人(5.7%)であった.肝硬変は8.5%で他の報告20〜30%に比べ低かった.肝硬変合併胆石で胆嚢炎を併発する頻度も低かった.そのために胆石を目的とした手術は肝硬変では1/3以下で付加手術として行われることが多かった.結石の種類は黒色石が42%と頻度が高く,ビリルビン系結石は75%を占めた.胆嚢結石では手術死亡例はなかったが,総胆管結石例では3例の在院死亡があった.総胆管結石には3例の非観血的治療を行い,2例はEST,1例はPTCDで合併症はなかった.
 肝硬変の合併した胆石の治療方針は積極派と慎重派があるが,炎症を起こす率が低いのでChild A,Bで胆嚢壁の肥厚などと臨床症状のある例で胆摘の適応があると考える.また,総胆管結石合併例では一度発作が起こると致命的となるので,EST,PTCDなどにより切石する必要がある.今後,腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応も検討されなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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