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特集 肝炎・肝硬変患者の消化器外科手術
文献概要
肝炎,肝硬変患者は,肝Kupffer細胞の数の減少,機能低下など種々の原因により感染防御能が低下し,循環動態面では末梢動脈拡張による相対的動脈循環量の不足と末梢血管領域での動静脈シャントの存在による組織低酸素があり,また肺内動静脈シャント,closing volumeの増加,換気血流不均衡の呼吸機能異常がある.肝炎,肝硬変患者の腹部手術の予後規定因子としては腹腔内汚染・感染の有無,緊急手術かどうか,肝機能障害の重症度,術中の輸血の必要性の有無が重要で,死亡例の死因は制御不能の感染症に由来した敗血症・MOFであり,術後出血,消化管出血,腹水漏出が増悪因子である.したがってこれらの危険因子を回避するような術前管理,手術を心がけるべきである.
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