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文献詳細

雑誌文献

臨床外科51巻3号

1996年03月発行

臨床外科交見室

本邦での臓器移植—特に膵移植を考える

著者: 小島靖彦1

所属機関: 1国立金沢病院外科

ページ範囲:P.327 - P.327

文献概要

 臓器移植とは機能の廃絶した臓器,あるいは早晩廃絶するであろう臓器を,新しい臓器で置換することである.これにより臓器の機能を回腹し,患者の延命を計るとともにquality of life(QOL)の向上をも期待できるわけである.膵移植は,現行の外来性のインスリン投与のみでは生理的な血糖コントロールが不十分なために行われるものであり,これにより変動する血糖値に対応したインスリンの投与が可能となり,腎不全などの合併症の予防,改善が期待できることとなる.
 膵移植は1966年にKellyらにより行われた膵腎同時移植に始まるが,その後は手技的な困難さや拒否反応の抑制の不完全さなどにより,生着率が不良であること,さらには心移植や肝移植に比べ緊急性に乏しいこと,などから顧みられなかった感がある.しかしながら,近年に入り移植手技の向上,サイクロスポリンAなどの免疫抑制剤の登場,それに伴う生着率の向上などにより,その症例数は欧米を中心として飛躍的に増加している.国際膵移植登録機構の報告によると,1995年5月までに6,856例の膵移植が施行されており,特に手技的にほぼ安定した最近では,年間723〜966例とその症例数の増加はすさまじい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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