icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科51巻5号

1996年05月発行

文献概要

特集 肛門疾患診療のポイント—エキスパート17人のノウハウ

痔瘻手術—括約筋温存術の実際

著者: 松田保秀1

所属機関: 1松田病院

ページ範囲:P.602 - P.605

文献購入ページに移動
 痔瘻に対する括約筋温存手術は,従来からのlay open法に比べて術後の変形,括約機能の低下がきわめて少ない.現在では主に低位筋間痔瘻と坐骨直腸窩痔瘻がその対象である.手術原理は,①全瘻管のくりぬき,②原発口部の縫合閉鎖,③同部の肛門上皮被覆,④くりぬき腔のドレナージである.これらの処置は局所の細かい解剖に精通し,きわめて丁寧な手術操作をすることが必要である.したがって,適応や術式を誤ると再発につながり,結局はlay openとなり患者の苦痛を倍増することになる.低位筋間痔瘻では内括約筋を障壁として,外口と原発口と両面から瘻管をくりぬく.とくに内括約筋の縫合閉鎖は様々な方法を臨機応変に駆使する.坐骨直腸窩痔瘻では,瘻管のくりぬきが広範囲で,原発口側の切除と縫合閉鎖が高難度である.術後は下痢,便秘に注意し,指診は特別なとき以外は行わない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?