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特集 図解 成人鼠径ヘルニア手術
文献概要
Edoardo Bassini(1844)は従来の鼠径ヘルニア手術では術後に脱腸帯の装着が必要であったため,新しい手術法を考案した.一方,米国ではMarcy H.O.(1871)が内鼠径輪を閉鎖する手術を行い,横筋筋膜を利用する手術法のさきがけとなった.Marcy手術は内鼠径輪のみを閉鎖するもので,鼠径管後壁の菲薄な症例には不適当であったが,Bassini手術は鼠径管後壁全長を切開し,内腹斜筋,腹横筋,横筋筋膜よりなる三層を鼠径靱帯に縫着する強固な術式であった.しかし,Bassini法は次第に普及するにつれて本来の形を変え,欧州各国と米国ではかなりの差異が術式の細部にみられるのが現状である.また,その後Shouldice法,Mizrachy法なども考案されたが,原理的にBassini手術から脱却しているものはないといえよう.
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