文献詳細
シリーズ 早期癌を見直す・2 早期大腸癌・8
早期大腸癌に対する縮小手術の理論と実際—②経肛門的局所切除
著者: 寺本龍生1 渡邊昌彦1 西堀英樹1 酒井信行1 藤井俊哉1 北島政樹1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科
ページ範囲:P.897 - P.901
文献概要
大腸癌の組織型は高・中分化腺癌がそのほとんどを占めており,比較的限局性に発育する傾向があり,外科的切除により長期生存を期待し得る癌のひとつである.したがって癌が粘膜内(m癌),あるいは粘膜下(sm癌)に限局した早期癌においてはその病態,病期を的確に把握し,術後のQOLを考慮した縮小手術の選択がとくに望まれる.直腸は解剖学的に肛門,尿,生殖器と密接した位置関係にあるため直腸切除の結果,自然肛門の犠牲,自律神経の損傷による排尿・性機能障害をきたしやすい.本稿では教室の直腸早期癌に対するQOLを指向した治療方針とその根拠,成績について述べる.
掲載誌情報