icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科51巻9号

1996年09月発行

詳説 皮膚割線の局所解剖・1【新連載】

女性解剖体における顕出例の示説—体幹から肩・腋窩にかけて

著者: 伊藤由美子1 佐藤達夫2

所属機関: 1文化服装学院・服装解剖学 2東京医科歯科大学医学部・第2解剖学

ページ範囲:P.1185 - P.1191

文献概要

はじめに
 皮膚にまるい小孔を穿つと,楕円形の孔ができる.その長軸の配列方向は皮膚の緊張と一致するので,LangerやKocherにより「皮膚割線」として手術時の皮切の方向として推奨されてきたが,近年,皺線に沿った皮切のほうが瘢痕形成が少ないことも主張されるようになった1).しかし,幼若青年層では皺線の設定が困難で,その活用には難があり,皮膚割線の再検討も必要と思われる.しかしながら,皮膚割線図は報告者により結果に差がみられ2),それが人種差にもとづくのか個体差によるのかも明確でない.ただ,従来の報告例の写真と挿図を通覧すると,割線を発現させるために穿った孔の密度がかならずしも高いとはいえないように思われる.
 筆者らは,衣服製作に重要な皮膚の局所解剖学的研究を行ってきたが,特に体幹と四肢の移行部のように,移動性ならびに形の変化の著しい部位について,皮膚割線と皺線ならびに浅層筋の筋束方向の関連を調査している.その第一段階として,女性解剖実習体1体の頭部を除く左側半について,従来よりも緻密に皮膚割線を出現させた.もちろん,最少例数という難はあるが,現在,最も詳しい調査例と思われるので,示説して外科医の参考に供したい.なお,図が多数となる関係から,(1)体幹から肩・腋窩にかけて,(2)骨盤部から下肢にかけて,(3)腋窩から上肢にかけて,の3回に分割して示説することにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら