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文献詳細

雑誌文献

臨床外科52巻1号

1997年01月発行

特集 転移性肺癌診療の最新ストラテジー

転移性肺癌の診断

著者: 奥村栄1 中川健1

所属機関: 1癌研究会附属病院呼吸器外科

ページ範囲:P.25 - P.30

文献概要

 転移性肺癌のうち甲状腺癌(4例),乳癌(67例),大腸癌(83例)肺転移例における術前診断の現状を検討し,また早期発見における問題点にも言及した.(1)自覚所見が先行し肺転移が発見される症例は5%(7/154例)と低率であり,胸部レントゲン検査を中心とした画像検査が早期発見には不可欠と考えられる.(2)腫瘍マーカーは,切除対象となる乳癌肺転移症例では,その陽性率(11%)からみた場合,CEAやCA15-3などは有用なマーカーとはいえなかった.大腸癌の場合は,CEAの陽性率は約40%であり,その推移は早期発見の手助けになりうると考えられる.(3)孤立性肺腫瘤の場合,画像所見だけでは転移性か原発性か鑑別困難な症例がみられ,気管支鏡検査あるいはCTガイド下による組織診・細胞診が必要となる.乳癌肺転移の場合には,組織診・細胞診(診断率35%)でも鑑別困難な症例が多いのが現状である.大腸癌肺転移の場合には,壊死を背景として高分化型腺癌が認められれば比較的診断が容易(診断率79%)であった.(4)単発肺転移を小さなうちに発見することは,まさに治療の第一歩であると思われるが,多発転移の永山の一角の可能性もあり,どういう方針でどの時期に手術を施行するかということは,発見することと同等あるいはそれ以上に重要なことと考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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