文献詳細
文献概要
特集 転移性肺癌診療の最新ストラテジー
転移性肺癌の治療選択
著者: 土屋了介1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院外科
ページ範囲:P.39 - P.42
文献購入ページに移動 原発巣が癌である転移性肺癌に対する外科的治療はThomfordの基準が守られ,多くは単発の症例が対象とされているが,複数個の転移の切除も試みられている.甲状腺癌,乳癌,大腸癌の肺転移に対する治療は単発であれば外科的な切除が治療として適応があるといえるが,複数の肺転移に対しての切除は対症療法として以上の効果が期待できない.したがって,化学療法や放射線照射が行われるが,多くは延命効果は期待できない.大腸癌の肺転移症例の中には複数個の肺転移を手術したり,肝転移と共に肺転移を切除して長期生存している症例も経験されており,今後,どのような症例が長期生存できるのか鑑別できるような診断が求められる.したがって,複数肺転移症例の切除や化学療法ならびに放射線照射は,適応の是非について結論が導きだせる臨床試験として行われるべきである.単発の転移巣か原発性肺癌かの鑑別が困難な症例も多く,確定診断のために切除される症例も実地臨床の場では多い.
掲載誌情報