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抗生物質によるエンドトキシン血症・1【新連載】
エンドトキシン放出に関する研究の歴史的変遷
著者: 谷徹1 花澤一芳1
所属機関: 1滋賀医科大学第1外科
ページ範囲:P.65 - P.69
文献購入ページに移動はじめに
近年,抗生物質使用時の副作用として,エンドトキシン放出に伴う負の効果を検討する臨床研究が報告され1,2),抗生物質使用の新しい適応条件として注目されるようになってきた.
抗生物質使用に伴う一時的な病態の悪化については,前世紀末に駆梅療法時に起こることが知られ,Jarisch-Herxheimer反応3)と呼ばれてきた.Sulfanilamideが最初に全身投与された1930年代にも同じ懸念が表明され4),1940年代には最初の臨床経験が報告された5).今世紀後半にはエンドトキシン放出がその原因機序として説明されるに至った6).しかしその後,1980年代後半までこの現象が重視されることはなく,顕著な研究の進展はなかった.
近年,抗生物質使用時の副作用として,エンドトキシン放出に伴う負の効果を検討する臨床研究が報告され1,2),抗生物質使用の新しい適応条件として注目されるようになってきた.
抗生物質使用に伴う一時的な病態の悪化については,前世紀末に駆梅療法時に起こることが知られ,Jarisch-Herxheimer反応3)と呼ばれてきた.Sulfanilamideが最初に全身投与された1930年代にも同じ懸念が表明され4),1940年代には最初の臨床経験が報告された5).今世紀後半にはエンドトキシン放出がその原因機序として説明されるに至った6).しかしその後,1980年代後半までこの現象が重視されることはなく,顕著な研究の進展はなかった.
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