文献詳細
特集 外来診療・小外科マニュアル
Ⅵ.直腸・肛門
74.尖圭コンジローマ
著者: 須田武保1 瀧井康広1 酒井靖夫1 畠山勝義1 伊藤薫2
所属機関: 1新潟大学医学部第1外科 2新潟大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.202 - P.203
文献概要
皮膚と粘膜の移行部の湿潤した部位にできるウイルス性疣贅である.発生頻度はヨーロッパでは全人口の0.05%とされ,女性に多く,増加傾向にある.小児から老人までみられるが,17歳から33歳までで80%を占める.男性では陰茎,尿道口,女性では陰唇,会陰部,男女の肛門周囲に好発する(図1,2).表面は顆粒状で乳頭状,鶏冠状に増殖し,集簇して多発する傾向がある.正常皮膚色から紅色ないし赤褐色調のものが多い.角化傾向は少なく,浮腫性で血管に富み,弾力性軟である.一般に自覚症状はないが,二次感染を起こすと分泌物を増して悪臭を放つ.大きさは数mmから2cm以下であるが,2cm以上で角化傾向の強いものは巨大尖圭コンジローマと呼ばれる(図3).これは組織学的には良性であっても悪性化の傾向が強いことが知られており,注意深い経過観察が必要である.
成因はヒト乳頭腫ウイルスの6型と11型の感染によって起こるとされ,成人の大部分が性行為,小児では自家接種による.
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