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特集 外来診療・小外科マニュアル Ⅸ.乳幼児の外来外科疾患
120.鼠径ヘルニア
著者: 里見昭1 川瀬弘一1
所属機関: 1埼玉医科大学小児外科
ページ範囲:P.314 - P.315
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小児鼠径ヘルニアはほとんどの場合,鼠径部あるいは陰嚢部の膨隆を主訴に来院する.しかし,膨隆に気付かず,機嫌が悪いという訴えで来院し,腸閉塞症状からヘルニア嵌頓としてはじめて発見されることも稀ではない.
本症は自然治癒が約35%1)に期待できるとされるが,治療方針の決定には,待つことによる嵌頓(非還納)の危険性や成人後の再発を考慮すべきである.いかなる手術も100%安全とは言い切れないが,本症の場合,予定手術であれば合併症もなく安全に行い得る.したがって嵌頓による危険性の高い緊急手術を避ける上で気管支喘息,心血管系疾患といった手術禁の要因がない限り,診断がつき次第,早期に手術を行うのが望ましい.以上のことから外来で行うべきことは,確定診断(鑑別)とヘルニア嵌頓に対する処置につきる.
小児鼠径ヘルニアはほとんどの場合,鼠径部あるいは陰嚢部の膨隆を主訴に来院する.しかし,膨隆に気付かず,機嫌が悪いという訴えで来院し,腸閉塞症状からヘルニア嵌頓としてはじめて発見されることも稀ではない.
本症は自然治癒が約35%1)に期待できるとされるが,治療方針の決定には,待つことによる嵌頓(非還納)の危険性や成人後の再発を考慮すべきである.いかなる手術も100%安全とは言い切れないが,本症の場合,予定手術であれば合併症もなく安全に行い得る.したがって嵌頓による危険性の高い緊急手術を避ける上で気管支喘息,心血管系疾患といった手術禁の要因がない限り,診断がつき次第,早期に手術を行うのが望ましい.以上のことから外来で行うべきことは,確定診断(鑑別)とヘルニア嵌頓に対する処置につきる.
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