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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科52巻12号

1997年11月発行

雑誌目次

特集 消化器外科領域におけるメタリックステント

メタリックステント—エディトリアル

著者: 古井滋

ページ範囲:P.1389 - P.1393

 本稿ではメタリックステントの歴史,種類,使用状況,市販状況などについて述べる.メタリックステントは動脈狭窄に対する血管拡張術から生まれた器具であるが,静脈,胆管,気管気管支,食道,尿道などの閉塞性病変の治療にも応用されており,これらの臓器の特徴や病変に合わせたステントも開発されている.また,メタリックステントを用いるtransjuglar intrahepatic portosys-temic shunt:TIPSは門脈圧亢進症の治療法として普及しており,メタリックステントに人工血管素材の膜を付けたステントグラフトの留置は大動脈瘤の新しい治療法として注目されている.メタリックステントの出現は様々な管腔臓器の閉塞性病変の治療に新しい扉を開いた観があるが,問題点は価格が高いことである.

食道疾患に対するメタリックステント

食道狭窄に対するSEMS挿入による治療

著者: 近森文夫 ,   渋谷進 ,   高瀬靖広

ページ範囲:P.1395 - P.1398

 self-expanding metallic stent:SEMSにはWallstentとUltraflexがあり,いずれもデリバリーシステムが細く,柔軟性があり,意識下軽度鎮静状態で挿人留置可能である.悪性腫瘍による食道狭窄例で,手術適応のない低肺機能例や超高齢者,他臓器浸潤例,遠隔臓器転移例がよい適応である.SEMSの留置成功率および嚥下困難改善率は90%以上と良好である.合併症としては,胸骨後部痛,ステント閉塞,位置移動,出血,穿孔,食道気管支瘻などがある.ステント内への腫瘍増殖や食道気管支瘻の形成はメッシュステントの欠点であったが,現在カバー付きステントの登場により解決されるようになっている.SEMSの開発は悪性食道狭窄患者の終末期医療の幅を広げたという点で評価すべきものがあり,今後広く普及していくことが予想される.

食道気管支瘻に対するステント治療

著者: 嶋尾仁 ,   森瀬昌樹 ,   堤修 ,   榊原譲 ,   比企能樹 ,   柿田章

ページ範囲:P.1399 - P.1402

 進行食道癌のうち,食道気管支瘻を伴った症例は治療に難渋する.経口摂取は呼吸器系の合併症を併発しやすく,また臨床上からも咳嗽が著しいため不可能である.食道一気管・気管支瘻の瘻孔閉鎖目的としては,self-expanding metallic stentで膜付きのものが開発され,挿入操作が簡便になってきた.ステント挿入例の経口摂取改善期間は7例の平均では3.7か月であり,経口摂取可能であった5例だけでみると平均5.2か月(2.5〜8.5か月)である.予後は平均4.3か月(0.5〜9か月)であった.留置後の経口摂取のみでは不十分であるため,在宅導入をはかるためにはper-cutaneous endoscopic gastrostomy(PEG)の併用が有効でありかつ必須であると思われる.

胃疾患に対するメタリックステント

胃癌に対するSEMSを用いた内視鏡的ステント留置術

著者: 奥脇秀一郎 ,   鈴木博昭

ページ範囲:P.1403 - P.1407

 切除不能または不適応の胃癌6例に対し,SEMSを用いたendoscopic stentingを施行した.その内訳は胃全摘術後吻合部再発4例,切除不適応の噴門部癌2例であった.使用したステントとその症例数は,通常のSEMS 2例,covered-type(以下,C-SEMS)が4例であった.stentingは安全,確実に行われたが,1例にingrowthを認め,C-SEMSによるstentingを施行した.食事摂取は5例は5部粥から全粥摂取が可能となった.stenting後の食道への逆流による食道炎が問題となるが,performans statusが良好な症例には積極的にstentingを行い,QOLの向上を図るべきと考えられた.

大腸疾患に対するメタリックステント

全周性狭窄型大腸癌に対する術前メタリックステント挿入法(SECC)

著者: 炭山嘉伸 ,   斉田芳久

ページ範囲:P.1409 - P.1413

 われわれは,通過障害を伴った全周狭窄型左側大腸癌に対しては,透視下および大腸内視鏡下にガイドワイヤーを挿入後,メタリックステントを挿入し内瘻化する手技SECC(stent endo-prosthesis for colorectal cancer)を開発し第一選択としている.これにより狭窄部を拡張し,腫瘍口側の減圧とともに,その後の良好な機械的前処置が可能となる.そのため安全な一期的手術を行うことができ,術後手術成績の向上が期待できる.現在までに22例にSECCを施行し,20例91%に挿入可能であった.挿入可能例の腫瘍占拠部位は直腸,S状結腸で,挿入から手術までの期間は平均5.6日であった.挿入可能例は全例良好な術前処置を行い得た.

胆道疾患に対するメタリックステント

胆道閉塞に対する経皮経肝的メタリックステント

著者: 植田俊夫 ,   大島進 ,   岡本健 ,   小倉裕司 ,   近藤礎 ,   河合稔

ページ範囲:P.1415 - P.1420

 良性10例,悪性91例の胆道狭窄に対してself expandable metallic stent(以下,EMS)を使用した.EMSは16 Fr tube stentと比べ減黄効果・術後生存期間に差はなく,内瘻造設に伴う出血・感染症の頻度が減少するので手術非適応黄疸症例にはEMSの使用を推奨する.また膵頭部癌症例で,EMSと開腹胆道消化管吻合術後の生存日数に統計学的有意差はなかったので,膵頭部癌でもEMSが第一選択の減黄手技と考えられる.
 EMSの留置は容易で安全な手技となった.また,経皮経肝胆道鏡下にWallstentの除去も可能になった.したがって個別の手術的減黄術の危険度,EMSの閉塞率などについて十分なインフォームドコンセントがなされれば良性胆道狭窄に対しても適応があると考えられる.

胆道閉塞に対する経乳頭的メタリックステント

著者: 高崎元宏 ,   高松正宏 ,   山本良一 ,   川上雅史 ,   堤克嘉 ,   辻晃仁 ,   森田荘二郎

ページ範囲:P.1421 - P.1425

 手術不能悪性胆道狭窄患者の内瘻術においては,主としてプラスティックステントが用いられてきたが,最近,expandable metallic stent(EMS)を用いたexpandable metallic biliary endoprosthesis(EMBE)が急速に普及している.経乳頭的EMBEは,経皮経肝的EMBEに比して合併症が比較的少なく,入院期間の短縮が可能であることが特徴である.通常のERCPに使用する十二指腸ファイバーを用いて留置が可能である唯一のself expandable typeのEMSであるWallstentを用いた経乳頭的EMBEは,手技が比較的容易で,かつ満足できるステント開存期間が得られた.しかしながら,Wallstentを用いた経乳頭的EMBEを行う際には,acute obstructionが発生する可能性があることに留意が必要であり,とくに一期的な内瘻術を行った際には,ENBD in stentを付加することが必須である.

カラーグラフ 内視鏡下外科手術の最前線・35 肝・胆・膵・脾

腹腔鏡下胆嚢摘出術(吊り上げ法)

著者: 永井秀雄

ページ範囲:P.1381 - P.1387

吊り上げ法の位置付け
 能動的気腹(いわゆる気腹法)を用いない腹壁吊り上げ法がわが国で開発されてから6年余が過ぎた1).腹腔鏡下胆嚢摘出術に限れば,吊り上げ法に慣れたものにとって気腹法の必要性はまずない.一方,気腹法に慣れると吊り上げ法の必要性をほとんど認めないとする論者が多い.吊り上げ法と気腹法の比較は慣れの問題が多く,客観的な評価は必ずしも容易ではない.また,一口に吊り上げ法といっても,皮下吊り上げと全層吊り上げがあり,それぞれに各種の方法がある(表1).
 国内外の腹腔鏡外科医の意見を総合すると,現時点での一般的評価(気腹法との比較)は表2に要約される.長所,短所とされた点に関しては,気腹論者,吊り上げ論者それぞれからの反論もあろう.ここでは,筆者の開発した皮下細径綱線吊り上げ法2)を例にとって(図1),手技のポイントを述べる.

対談

さらなる治療成績向上をめざして—日・韓胃癌外科の現況と展望

著者: 金世民 ,   比企能樹

ページ範囲:P.1427 - P.1438

 第50回日本消化器外科学会がさる7月17,18の両日,会長比企能樹北里大学教授のもと,横浜市において盛況裡に開催された.
 50回という節目のときを迎え,来し方を振り返り,行く末を展望する盛り沢山の企画がとりあげられた.

病院めぐり

国立都城病院外科

著者: 鮫島浩文

ページ範囲:P.1440 - P.1440

 当院は,宮崎県の南西部に位置し,この地域の基幹病院の一つで,診療範囲は宮崎県南西部と鹿児島県の一部を含む4市14町に及んでいます.現在の診療科は12科で,病床数は307床,患者さんの多くは周辺地域の開業医からの紹介で,地域に密着した医療を行っています.
 当院外科は,熊本大学第2外科より派遺の,奥村医長以下,鮫島医長,岩永医師,また宮崎医科大学第1外科より派遺の金丸医師の計4人で診療を行っています.かつては救急患者も多く,手術は年間500例をこなしていたほどですが,近年医師会の救急病院が近くにでき,また院内体制の変化もあり,手術症例数は減少傾向にあります.

長浜赤十字病院外科

著者: 丸橋和弘

ページ範囲:P.1441 - P.1441

 本院の所在する長浜市は東に伊吹山を,西に琵琶湖を臨む,いわゆる湖北医療圏域の中心地,閑静な田園小都市です.最近のある調査によると,長浜市は日本で一番住みやすい街といわれているようです.
 長浜赤十字病院は,昭和7年に開設され,現在病床数610床で,精神科を含む21科を標榜しています.医師数80名を擁するこの地方で中核をなす総合病院です.

私の工夫—手術・処置・手順・37

粘膜剥離子を使用した肝門部処理

著者: 小西靖彦

ページ範囲:P.1443 - P.1443

 肝手術においては,肝門部で血管処理を行い,出血をコントロールして行われる,一般には「グリソンー括」と呼ばれる手技が用いられることが多い.この手技は簡便であるが,肝実質をすくう際に少なからず出血することや,一括クランプでは十分な阻血を得られないことがある.とくに硬変肝では肝門部が深く,出血とともに思わぬ分枝をひっかけることを経験する.
 ①出血させず,②リンパ管などの他の構造物を破壊せず,③手術を遅滞させることがないという条件のもとに,胆管・動脈・門脈の3系統をそれぞれテーピングできることが理想である.このために筆者は次のように粘膜剥離子(図1)を使用している.

臨床外科交見室

理想の医師像とは

著者: 竹内仁司

ページ範囲:P.1445 - P.1445

 学士入学制度の導入など医学教育のあり方が問われている.医学部に入るためには,できるだけ入試に関係しないことは無駄として省くとともに,体力的にも経済的にも恵まれた環境でなければ困難なほど,医学部ブームは加熱している.しかし,そのような環境下で医師になった人たちが,社会の様々な出来事や,弱者の立場に立たされる人々の気持ちを理解できるであろうか.現在の入試制度では医学部入学者は偏差値教育の勝利者であっても,必ずしも全人的に医師として適格といえるか,はなはだ疑わしい.
 患者の気持ちを理解せずに良い医療など行えるはずがない.患者は肉体的のみでなく精神的に弱者であり,われわれの前に心身をさらし,プライバシーまでも放棄しなければならない.また,身体が弱く多少心がなえていても,健康人と同様の生活願望をもっており,サービスの質や人間の態度を評価する力は健康人よりも敏感である.このような患者心理を理解するには,所得や地位の高低,教育程度,さらには家族,職場環境や文化的志向など,多面的な要素で人をとらえる能力が要求される.しかし,患者の気持ちを理解するには,あまりにも医師は人生経験に乏しく多忙で心のゆとりがない.にもかかわらず今まで医師は医療の中心としての役割を担ってきた.

メディカルエッセー 『航跡』・15

カナダ横断30日間講演旅行(2)—カルガリーからハリファックスへ

著者: 木村健

ページ範囲:P.1446 - P.1447

 1983年9月,第52回カナダ医学会総会(The Congress of the Royal Colleges of Physicians and Supens of Canada)はカナディアンロッキーの東の裾野に位置するカルガリー市で開かれた.『ブレッド・マクロード講師』として医学会総会と分科会のカナダ小児外科学会でそれぞれ1時間の特別講演をするためにはるばるニッポンから飛んで来たのである.
 総会の会場に赴くと,会場は300人ほどの聴衆でほぼ満席であった.最前列に座っている人の顔には明らかに途惑いと動揺の表情が見てとれる.前年のフレッド・マクロード講師は,ピッツバーグ大のマーク・ラビッチ教授,翌年に予定されていたのはヒルシュスプルング病手術の創始者であるスエンソン教授であった.御両人とも齢60歳をとっくの昔に過ぎ,今や引退にさしかかろうという大御所であるから,その間にぽつんと四十いくつかの若造が入るのは,調和を欠いて当然である.「この若造は通訳で,そのあとからうんと熟し切った長老が出てくるに違いない」と思った人も少なからず居たそうである.

外科医のための局所解剖学序説・16

腹部の構造 3

著者: 佐々木克典

ページ範囲:P.1449 - P.1457

 Billrothと胃切除で張り合った人物にPean Jがいたことを前回触れた.残念なことに彼の症例は術後5日目に死亡しており,またその後積極的にこの手術を試みることがなかったために,Bil-lrothに水をあけられてしまったが,しかし当時を代表する偉大な外科医の1人であったことには間違いなく,またペアンという手術器具を知らない人はいない.
 ここではPeanの誤診から生じた世界初の脾臓摘出術について述べる.

遺伝子治療の最前線・5

リガンドー受容体系を介した遺伝子ターゲッティング

著者: 根田寛

ページ範囲:P.1459 - P.1464

はじめに
 細胞表面の特異的分子標的をターゲットとした遺伝子治療法が注目されてきている.ことに,受容体を介した遺伝子導入法は,リガンドと受容体の親和性の高さやリガンドの細胞内取り込み機構が比較的詳細に調べられていることから,寄せられている期待は大きい.
 受容体介在遺伝子導入において,対象となる受容体の代表例は腫瘍細胞や骨髄細胞のように増殖の盛んな細胞に存在しているトランスフェリン受容体(transferrin receptor:TfR)と,肝細胞に特異的に存在しているアシアロ糖蛋白受容体(asialo-glycoprotein receptor:AGPR)である.また,その具体的な方法としては,

臨床報告・1

胃十二指腸動脈塞栓術が有効であった十二指腸憩室内出血性潰瘍の1例

著者: 杉生隆直 ,   矢田義比古 ,   上平聰 ,   本多祐 ,   渡辺一史 ,   山口大介

ページ範囲:P.1467 - P.1470

はじめに
 十二指腸憩室は上部消化管検査によりよく発見される疾患であるが,その多くは治療を必要としない1).一方,十二指腸憩室内に潰瘍を形成し,これが大量出血の原因となることは稀ながら報告2)されている.
 今回,筆者らは十二指腸憩室内潰瘍からの出血に対し,内視鏡的治療と動脈塞栓術(以下,TAE)を行い止血しえたので,治療法を中心に若干の文献的考察を加えて報告する.

分離片肺換気下手術時における気管支破裂に対し肋間筋弁修復術を施行し救命しえた1例

著者: 櫻井孝志 ,   川原英之 ,   堀米寛

ページ範囲:P.1471 - P.1475

はじめに
 胸腔内手術時には現在double-lumen tube(以下,DLT)を用いた分離片肺換気が一般的である1).しかし,時にDLTによる気管・気管支破裂も認められ,適切な対応が必要とされる.今回,筆者らはDLTによる左主気管支破裂に対し,肋間筋弁による修復術を施行し,救命しえた1例を経験したので,若干の文献学的考察を加え報告する.

動脈塞栓術後切除した直腸平滑筋肉腫の1例

著者: 山内励 ,   小柳宏之 ,   海江田衛 ,   竹中晃司 ,   豊田清一 ,   林透

ページ範囲:P.1477 - P.1479

はじめに
 直腸原発の平滑筋肉腫は比較的稀な疾患である.われわれは,打撲後臀部腫瘤で気づいた直腸平滑筋肉腫に対し,内腸骨動脈塞栓術後に腹会陰式直腸切断術を行った1例を経験したので報告する.

胸骨前経路での有茎大網充填術が著効した頸部縦隔MRSA膿瘍の1例

著者: 渡辺俊一 ,   佐藤日出夫 ,   遠藤将光 ,   関雅博 ,   山田哲司 ,   中川正昭

ページ範囲:P.1481 - P.1484

はじめに
 深頸部感染症に続発する縦隔洞炎は一般に死亡率40%と非常に予後不良である1-4).今回筆者らはMRSA感染が合併した重症の頸部上縦隔膿瘍症例に対し,通常のドレナージ術に加えて胸骨前経路での有茎大網挙上・充填術を施行し,良好な結果を得たので報告する.

幽門狭窄で発症した膵癌の1例

著者: 石榑清 ,   山内晶司 ,   熊沢平次 ,   浅野浩史 ,   小林裕幸 ,   森良雄

ページ範囲:P.1485 - P.1488

はじめに
 膵癌の症状は発生部位と進行度により様々である.黄疸や膵炎症状をきたすことなく,幽門狭窄症状が発見の契機となった興味ある発症形式の膵癌を経験したので報告する.

肺癌と重複したCEAが高値を示した甲状腺髄様癌の1例

著者: 深田民人 ,   岡田稔 ,   吹野俊介 ,   新田晋 ,   廣恵亨 ,   林英一

ページ範囲:P.1489 - P.1493

はじめに
 今回われわれは総胆管結石症入院時に腫瘍マーカーであるcarcino-embryonic antigen(以下,CEAと略す)が高値を示し,各種消化管検査で異常が認められず,後に甲状腺髄様癌によるものと判明し,同時に肺癌を併存したきわめて稀な重複癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

MRIが診断に有用であった尿膜管嚢胞の2例

著者: 菊地勤 ,   高畠一郎 ,   長尾信 ,   吉田千尋 ,   上田和彦 ,   鈴木正行

ページ範囲:P.1495 - P.1498

はじめに
 近年,MRIなどの画像診断の進歩はめざましく,各疾患の診断に役立っている.今回,筆者らはMRIが診断に有用であった尿膜管嚢胞の2例を経験したので報告する.

不妊に対するホルモン療法後に発症した肝限局性結節性過形成の1切除例

著者: 岸仲正則 ,   西浦三郎 ,   河崎秀樹 ,   木村誉司 ,   宮内聡一郎 ,   前田智治

ページ範囲:P.1501 - P.1504

はじめに
 肝限局性結節性過形成(focal nodular hyper-plasia:FNH)は肝に発生する腫瘍類似疾患の代表的なもので1),欧米では性腺ホルモン投与後の報告が多い2,3)が,本邦ではホルモン剤投与に起因する報告は比較的少ない4,5).われわれはホルモン療法による不妊治療後に発症した肝FNHに対し,肝部分切除を施行した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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