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特集 血管系病変と腹部消化器外科
文献概要
急性大動脈解離の血管合併症のうち,腸管虚血をきたす上腸間膜動脈や腹腔動脈閉塞は,全体の3%前後で決して頻度は高くはない.しかし,診断が難しい上に治療成績もきわめて不良である.外科治療成績は文献的には80%以上の死亡率である.この治療成績向上には,腹部大動脈に解離の及ぶ大動脈解離では腸管虚血の発生を常に念頭におき,注意深い観察のもとに時期を失することなく治療を行うことが大切である.現時点での方針は,DeBakeyⅠ型(Stanford A型)では発症早期(超緊急的)にentryを含めた大動脈置換手術,通常緊急手術を要しないDeBakeyⅢb型(Stanford B型)では,降圧治療中も腸管虚血発生に対し慎重な観察を行うことにより,本疾患に対する治療成績が向上すると思われる.
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