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特集 血管系病変と腹部消化器外科
非閉塞性腸管虚血症への対処
著者: 金田巌1
所属機関: 1石巻赤十字病院外科
ページ範囲:P.1537 - P.1541
文献購入ページに移動 非閉塞性腸管虚血症は,腸間膜動脈の攣縮により生ずる虚血症であり,全虚血症の20〜30%を占める.初発症状は閉塞性虚血症に比べ軽微なことが多く重篤感がないために診断の遅れをもたらしやすい.血液生化学的検査で特異的なものはなく,画像では動脈造影での血管の攣縮像が確定診断となる.根本的治療は血管拡張剤の持続動注で,腸管の壊死をきたした場合のみ手術の適応となる.手術の基本は短腸管症候群を避けるべく,必要最小限の切除にとどめ,残存腸管のviabilityの判断に心血を注ぐ.予後はきわめて不良であり,予後改善のためにはhigh risk groupの初期症状を見逃さずに血管造影を行い,早期診断に努めることである.
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