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特集 血管系病変と腹部消化器外科
腹部内臓動脈瘤
著者: 宮田哲郎1 重松宏1
所属機関: 1東京大学医学部外科・血管外科
ページ範囲:P.1559 - P.1564
文献購入ページに移動 腹部内臓動脈瘤は破裂しない限りは症状がないことが多いために,破裂し重篤な状態になって初めて診断されることがあり,注意すべき疾患である.過去27年間に筆者らが経験した腹部内臓動脈瘤24例35瘤を呈示し,診断,治療に関し文献的検討を加えた.発生部位の内訳は,脾動脈13例,肝動脈5例,空腸,回腸,結腸動脈3例,上腸間膜動脈2例,腹腔動脈1例である.破裂で初診した6例以外の18例中17例は無症状であり,他疾患精査時偶然診断されたものであった.治療を行った18例中待機手術12例は治癒したが,破裂例6例のうちで,肝動脈瘤十二指腸内破裂例とEhler-Danlos症候群の空腸動脈瘤破裂例を失った.腹部内臓動脈瘤の特性は発生部位,原疾患,形態により異なる.それぞれの瘤にあった治療法を選択して対処することが重要である.
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