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文献詳細

雑誌文献

臨床外科52巻2号

1997年02月発行

文献概要

特集 消化器の“前癌病変”と“ハイリスク病変”

ヨード不染帯

著者: 吉田操1 葉梨智子1 門馬久美子2 加藤久人2 北岡吉民2 荒川丈夫3 榊信廣3 中村二郎4 小池盛雄4

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院内科 3東京都立駒込病院内視鏡科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.150 - P.154

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 食道粘膜にヨード染色を行うことで,扁平上皮の病的変化を不染帯として幅広く捉えることができる.食道上皮内癌・粘膜癌所見の特徴はすでに整理されており,染色所見のみを手がかりに鑑別しなければならないものとしては,平坦型上皮内癌(0—IIb)とその他の上皮の異常である.染色の程度と境界の性状ならびに大きさを考慮すると,1)淡染・境界不明瞭な不染帯は食道炎によるものが多く,2)境界明瞭な淡染・不染帯で5mm以上の大きさがあれば,異型性を有する上皮や基底層型上皮内癌の頻度が高い.3)黄白色・境界明瞭な不染帯は,高度の異型性を有する上皮あるいは上皮内癌である.中でも10mm以上の大きさがあれば,全層型上皮内癌あるいは粘膜癌である.高度の異型性を示す場合には上皮内癌と同一に考えるとする意見が多い.上皮内癌や高度の異型性を予測される所見を呈するヨード不染帯に対しては,治療を兼ねて内視鏡的粘膜切除法が適応となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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