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文献詳細

雑誌文献

臨床外科52巻2号

1997年02月発行

文献概要

特集 消化器の“前癌病変”と“ハイリスク病変”

Helicobacter pyloi感染と胃癌および背景胃粘膜との関連

著者: 上村直実1 向井俊一1 岡本志朗1 山口修司1 三好信和2 中井隼雄1 佐々木なおみ3 谷山清己1

所属機関: 1呉共済病院消化器科 2呉共済病院外科 3呉共済病院臨床病理科

ページ範囲:P.161 - P.168

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 ヒト胃粘膜では,Helicobacter pylori(H.pylori)感染により組織学的胃炎が惹起され,ひいては分化型胃癌の前癌病変または背景である腸上皮化生を伴う慢性萎縮性胃炎が生ずる.この胃粘膜萎縮の進行速度に対して局所の胃酸分泌能が大きく影響するものと思われた.また内視鏡的切除後の残存胃粘膜に対する除菌治療の結果,腸上皮化生が可逆的であり,分化型胃癌も初期の段階においてはH.pylori除菌により増殖が抑制される可能性も示唆された.今後,H pyloriと胃癌や前癌病変との関連については,臨床的な観察を分予生物学的に解明することや動物実験による新たな展開が期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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