文献詳細
文献概要
外科医のための局所解剖学序説・8
胸部の構造 3
著者: 佐々木克典1
所属機関: 1山形大学医学部解剖学第1講座
ページ範囲:P.355 - P.364
文献購入ページに移動 Blalock-Taussigの手術が生まれたきっかけは,肺動脈狭窄を伴う先天的心疾患に副血行路が発達しており,それは肺動脈の血液量を確保するためであることに気づいたからだと学生時代に教わった.解決の糸口を生体自身が暗示していたことに深く感動した.
Alfred Blalock,Helen B Taussigが先駆的な治療を行った例をJAMAに報告したのは1945年5月であった.しかしBlalockが最初に手術したのは1944年11月29日である.助手としてこの手術に参加したLongmire Williamはその時の印象を次のように述べている.“当時血管外科に必要なモダンな器具など一切なかった.ただ教授の意志決定だけがこの手術を遂行させたのである.開胸してみると,かつてみたことがないほど副血行路が発達し青黒い血で満たされていた.左肺動脈を縦隔で見出した後,鎖骨下動脈と吻合したが,決してやさしい手術ではなかった”.
Alfred Blalock,Helen B Taussigが先駆的な治療を行った例をJAMAに報告したのは1945年5月であった.しかしBlalockが最初に手術したのは1944年11月29日である.助手としてこの手術に参加したLongmire Williamはその時の印象を次のように述べている.“当時血管外科に必要なモダンな器具など一切なかった.ただ教授の意志決定だけがこの手術を遂行させたのである.開胸してみると,かつてみたことがないほど副血行路が発達し青黒い血で満たされていた.左肺動脈を縦隔で見出した後,鎖骨下動脈と吻合したが,決してやさしい手術ではなかった”.
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