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文献詳細

雑誌文献

臨床外科52巻3号

1997年03月発行

抗生物質によるエンドトキシン血症・3

放出機序と影響される病態および臨床的検討

著者: 谷徹1 小林知恵1 近藤浩之1

所属機関: 1滋賀医科大学第1外科

ページ範囲:P.371 - P.377

文献概要

はじめに
 抗生物質投与後,数時間後に起こる一過性の炎症反応増悪現象は前世紀末から知られてきた.臨床経験,in vitro, in vivo,臨床的検討の知見から,エンドトキシン放出に影響するさまざまな因子は表1のごとくまとめられる.
 従来,β-ラクタム系抗生物質の作用機序はトランスペプチダーゼ阻害によって起こると考えられ,殺菌機序もすべてこの機序により説明されてきた.しかし,1975年,Spratt1)がペニシリン結合蛋白(PBP)を報告し(表2),メシリナムによって起こる大腸菌の球状化現象も説明した新知見により,抗生剤とエンドトキシン放出機序について新しい考え方が必要となった.また,今まで感染症が単独の疾患であったのに対し,近年,とくにsystemic inflammatory response syndrome(SIRS)の概念が提唱2)され,感染とは別にエンドトキシンやサイトカイン血症といった毒素血症が原因で全身炎症反応状態となる重症病態が再確認された.Compromized hostが増え,感染症下にエンドトキシンが放出される病態は,重大さを増したと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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