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臨床研究
肝切除後の機能的肝再生と肝血流指標としてのアシアロシンチの有用性について
著者: 權雅憲1 上辻章二1 上山泰男1 河相吉2
所属機関: 1関西医科大学第1外科 2関西医科大学放射線科
ページ範囲:P.669 - P.672
文献購入ページに移動正常肝は70〜80%の肝切除が可能であり,残存肝は6〜12か月でほぼ術前の大きさに再生するが,肝硬変や慢性肝炎を伴う障害肝の肝切除は切除範囲が制限され,肝再生も遅延することが知られている1-3).臨床における残存肝の再生評価法は,従来はメタルクリップ2)や,血管造影4)であったが,近年はCTが多用されている5).一方,アシアロ糖蛋白受容体(asialoglycoprotein rece-ptor;以下,ASGPR)は肝実質細胞の類洞膜表面上に存在し,血清中のアシアロ糖蛋白(以下,ASGP)を特異的に認識して,これを細胞内に取り込む働きをしている.また,このASGPRは肝障害モデル6)や肝疾患症例7)においてはその活性が低下することが知られている.そこで,肝臓の実質細胞の細胞膜表面に特異的に結合する合成糖蛋白である 99mTc-DTPA-galactosyl humanserum albumin(99mTc-GSA;以下,GSA)が開発され,これを用いた肝シンチグラフィによる肝機能の評価が試みられるようになった8,9).今回,われわれはGSAのコンパートメントモデル解析により,肝血流量および肝機能再生を検討し,さらにGSAによるsingle photon emission computed tomography(以下,SPECT)肝シンチグラフィを用いて肝容積再生を検討した.
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