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特集 輸血後GVHDをめぐる諸問題
輸血後GVHDを防ぐための対策—放射線照射輸血
著者: 関口定美1
所属機関: 1北海道赤十字血液センター
ページ範囲:P.731 - P.736
文献購入ページに移動 わが国における輸血後GVHDは免疫の正常な患者に発生しており,従来報告された症例とは異なる,いわば輸血副作用の日本病といってもよい.発生の要因となる因子は心血管外科手術,担癌手術のみならず,消化管出血の場合も発生しており,高齢者,初回輸血,血縁者からの血液,採血3日までの新鮮血を輸血する場合はGVHDの危険があると考え,現在,最も確実な予防法は15〜50Gyの放射線照射を行うことである.緊急時等でやむをえず放射線照射を行えない時は,次善の策である保存14日以降の血液を使うとか,白血球除去フィルターの使用も考えることが必要であろう.日本輸血学会では放射線照射のガイドラインⅢを公表しており,これを参考にして普段から院内GVHD予防対策を決めておくことが大切である.
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