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特集 輸血後GVHDをめぐる諸問題 特集関連症例
HLA-AとDPの不一致による輸血後GVHD
著者: 南雲文夫1
所属機関: 1佐賀医科大学輸血部
ページ範囲:P.745 - P.748
文献購入ページに移動 胃潰瘍の出血による貧血改善のために行われた400ml由来赤血球濃厚液1バッグの輸血で輸血後GVHDを発症した症例を経験し,患者と供血者間でHLA-AとDPの不一致を確認した.患者は輸血後12日目に発熱,14日目から紅斑が出現し,34日目に消化管出血で死亡した.HLAは患者と供血者間でHLA-B,Cw,DRB1,DQA1,DQB1は一致していたが,HLA-AとDPB1が異なっており,患者は「HLA-A24,A33,DPB1*0201,0501」,供血者は「HLA-A24,A—,DPB1*1901,0501」であった.このクラスIとクラスII両抗原の不適合が輸血後GVHD発症の原因と考えられた.患者と供血者問でHLA-DPの不一致が確認された輸血後GVHDの症例は本例が最初であった.
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