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特集 縫合・吻合法のバイブル Ⅰ.縫合法・吻合法の基本
接着剤の種類とその使い分け
著者: 前田肇1
所属機関: 1香川医科大学第1外科
ページ範囲:P.23 - P.27
文献購入ページに移動はじめに
損傷された組織を再建するには自己組織が完全に接着することが必要であり,組織修復の理想は損傷部位を接着し,自己の創治癒に適切な状態を作ることである.組織の修復には今日でも縫合針と縫合糸で組織を縫い合わすことが基本である.しかし,縫合は組織を傷害することにもなり,接合部の血行障害を招き,かえって創治癒を阻害することも少なくない.さらに縫合操作ができないこともしばしば存在する.そこで,創部を糊のような物質で接着する方法が古くから考えられてきた.現在臨床応用されている組織接着剤としてはフィブリン糊,ゼラチン系接着剤,シアノアクリレート系接着剤などがある1).しかし,これらの接着剤はまだ理想的な接着剤とはいえず,一長一短があるが,接着剤の特性を知り,適切な使用をすれば,手術操作を短縮・簡便化でき,縫合操作ができにくい部位の止血や組織の接着が可能となる.
損傷された組織を再建するには自己組織が完全に接着することが必要であり,組織修復の理想は損傷部位を接着し,自己の創治癒に適切な状態を作ることである.組織の修復には今日でも縫合針と縫合糸で組織を縫い合わすことが基本である.しかし,縫合は組織を傷害することにもなり,接合部の血行障害を招き,かえって創治癒を阻害することも少なくない.さらに縫合操作ができないこともしばしば存在する.そこで,創部を糊のような物質で接着する方法が古くから考えられてきた.現在臨床応用されている組織接着剤としてはフィブリン糊,ゼラチン系接着剤,シアノアクリレート系接着剤などがある1).しかし,これらの接着剤はまだ理想的な接着剤とはいえず,一長一短があるが,接着剤の特性を知り,適切な使用をすれば,手術操作を短縮・簡便化でき,縫合操作ができにくい部位の止血や組織の接着が可能となる.
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