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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻12号

1998年11月発行

文献概要

特集 肝癌治療のupdate

—巻頭言—肝細胞癌の治療戦略

著者: 門田守人1

所属機関: 1大阪大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1391 - P.1394

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はじめに
 わが国で初めて肝癌の集計が行われたのは1969年のことである.その集計によると,その時までの胆管細胞癌や肝芽腫などを含む肝癌手術総数は452例,肝切除例数は125例(切除率28%)であり,その切除成績は直接死亡率23.2%,3年生存率13.6%,5年生存率8.0%となっている1).一方,最新の報告を見ると,調査対象期間2年間(1994〜1995)の肝細胞癌新規症例数は15,804例,うち手術施行例4,525例,その94.7%の症例に切除術が行われ,手術死は53例(1.2%)と報告されている2).さらに,1978年から1995年までの全切除症例の3年および5年生存率が集計され,それぞれ62.6%,45.3%となっている.これらの数値を単純に比較しただけでも,この間の肝細胞癌の診断・治療の進歩には目覚ましいものがあることがわかる.しかし,残念ながら,本疾患による死亡率は未だに年々増加する一方で,わが国においては重要な癌の一つであり,新しい治療戦略が期待されているところである.本稿では,肝細胞癌の治療において外科が果たしてきた役割を振り返り,今後の展望について述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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