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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻12号

1998年11月発行

特集 肝癌治療のupdate

Ⅱ.標準的手術療法の現況

4.肝切除前門脈塞栓療法の適応と意義

著者: 田中宏1 木下博明1 広橋一裕1 久保正二1 塚本忠司1 半羽宏之1 首藤太一1 檜垣一行1

所属機関: 1大阪市立大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1435 - P.1439

文献概要

 肝癌114症例に施行した経皮経肝門脈枝塞栓術(PTPE)の経験をもとに,PTPEの適応と意義について考察した.門脈右枝にPTPEを行うと,2週間後の肝左葉体積は平均29%増加し予後得点は5点改善した.これらの変化は肝右葉体積比率が大きく肝炎のgradeが低いほど顕著であった.一方,PTPEにより右葉切除後の予後は改善し,経動脈的治療と併施した非肝切除症例でも比較的良好な成績が得られた.したがって,右葉切除が望ましいが肝機能上切除限界域にある肝癌症例に対して,腫瘍側因子や肝炎ウィルス動態などの総合的評価に基づいて施行されるPTPEは,治癒切除への適応拡大や安全性向上に寄与し,集学的療法としても有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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