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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻12号

1998年11月発行

文献概要

私の工夫—手術・処置・手順・47

open tension-freeヘルニア修復術における接着剤によるメッシュ固定

著者: 山本俊二1 中野正人1 坂野茂1 山本正之1

所属機関: 1神鋼病院外科

ページ範囲:P.1467 - P.1468

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 open tension-freeヘルニア修復術でメッシュを固定しないと,プラグの逸脱やパッチのずれが生じ,再発が起こる1).針糸を用いてメッシュを固定する場合は,針糸の間に生じるメッシュと周囲組織との間の間隙が問題になる.特に,プラグとヘルニア門との間やパッチ下縁と鼠径靱帯のshelving edgeとの間に間隙が生じ,この部位からヘルニアの再発が起こる危険がある.針糸の数を多くすれば間隙が小さくなるが,時間がかかる.われわれは,針糸の間隙を被うために生体組織接着剤であるBiobond®(吉富製薬,大阪)を塗布しているので,今回その経験について報告する.
 ヘルニア嚢の剥離を十分に高位(ヘルニア門の奥)まで行い,ヘルニア門を全周にわたり同定する.ヘルニア嚢は結紮・切離する.ヘルニア門(外鼠径ヘルニアでは内鼠径輪,内鼠径ヘルニアではHesselbach三角,大腿ヘルニアでは大腿輪,再発ヘルニアでは再発部)にプラグを挿入して,ヘルニア門の閉鎖を行う.ヘルニア門の周囲の組織に針糸を用いて,4針縫合・固定する.Biobond®をプラグの縁に塗布する(図1).約10秒で接着固定が完了する.次に,鼠径管後壁にパッチを当て,パッチの外側に作製したスリットの部分に精索を通す.パッチの内側下縁を恥骨結節前面に,下縁を鼠径靱帯のshelving edgeに,針糸を用いて各々2針ずつ縫合・固定する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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